〔拝堂〕1棟 前後千鳥破風付 正面軒唐破風付 本瓦葺
〔唐門〕1棟 1間1戸平唐門 檜皮葺
〔瑞垣〕2棟 東側14間 西側13間 檜皮葺
境内の西端、築地塀に囲まれた区域が親鸞聖人と歴代上人の御廟である。白い玉砂利の広場の向こうに、鬱蒼とした樹森があって、静寂を漂わせている。
拝堂は屋根の正面と背面に大きな千鳥破風、正面の軒に唐破風をつけて、やや大仰な外観を示すが、内部は構造材を露出させたブッキラボウな感じの建物になっている。唐門、瑞垣、拝堂とも幕末の建造であって、拝堂の瓦に安政5年(1858)の銘がある。
正面は平入りの唐門で、長押のあたりや柱の間、それに扉などを隅々まで装飾彫刻で埋めつくし、工芸品のような美しさを見せる。瑞垣は唐門の両脇から東西に長くつらなっていて、その水平線が御廟の静寂感を作るのに大きく役立っている。この垣は檜皮葺の屋根の下が細手の菱格子で、中が透けて見えるいわゆる透塀で、しかもその腰廻りに、水仙や蓮などの水草や、土筆、タンポポのような草花を題材にした彫刻を嵌め込んでいる。これらの意匠は幕末花鳥画の名手山本梅逸(安政元年歿、68歳)のデザインにかかるものと言い伝えるが、洗練された素晴らしさから、その伝承は信頼してよいように思われる。高田本山の法義と歴史より